02 日

9月

2015 年

走る地域おこし協力隊・重見高好さん「売木村背負い今後も駆ける」

  都市部から移住して地域活性化に取り組む売木(うるぎ)村の地域おこし協力隊、重見高好さん(33)が、6月に南アフリカで開催された極地マラソンの大会で優勝を遂げるなど、数々の輝かしい成果を挙げている。「売木村をランナーの聖地にしたい」とさまざまな大会に出場し、村のPRに取り組んできた3年間。間もなく任期が終了するが、今後も村を背負って駆け抜けていこうと心に決めている。(三宅真太郎)


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 ◆極地の大会で優勝

 6月20日に南アフリカのサバンナで開かれた極地マラソンの大会「ビッグ5」。重見さんはアフリカゾウやヒョウなどを横目に過酷なコースをひたすら走った。42・195キロのコースを3時間24分52秒、日本人初の歴代3位という記録で優勝。胸には「うるぎ村」の4文字が誇らしげに踊っていた。


 レースで結果を残し売木村をPRするのが、重見さんの地域おこし協力隊としての仕事の一つ。「優勝できたのは、売木村の標高差の激しい地形と豊富な自然で鍛えたおかげ。ここでみっちり鍛えればサバンナでも通用する」と笑う。

 ◆逆境をばねに

 愛知県岡崎市出身で、中学1年のときに陸上を始めた。全員が部活に入るという学校の決まりで、道具を買わずに済むという理由から陸上部に入部。先輩に勝てない悔しさから練習に打ち込み、力をつけた。

 高校には推薦で進学したものの、金銭的な事情から退学するなど苦難にも直面。ただ、「いつしか日の丸を背負いたい」という夢を抱き、自ら稼いだ学費で通信制高校を卒業し、実業団に所属。大阪ガス陸上部などで駅伝などに励んだ。

 しかし、結果は思うように出ず、ストレスが原因で走りながら嘔吐(おうと)するほど、精神的、肉体的に限界に追い込まれ、平成23年8月に同部を去った。

 ◆新たなランナー人生

 それでも「このままランナー人生を終わりたくない」と、高地練習の場所に選んだのが売木村だった。村で練習を重ねていた24年9月、清水秀樹村長から声を掛けられ、同年12月に“走る地域おこし協力隊”として採用された。

 以来、標高800メートルを超える村内を走るコースを距離や練習目的別に7種類設定するなど、村を合宿地として訪れてもらえるプランを考案。自らもレースに出場し、SNSやホームページを通して宣伝してきた。村外からランナーが訪れれば村内各所のスピーカーを通して、「ランナーを見かけたら応援してください」などと呼びかけ、村一帯でもてなしている。

 取り組みが実り、同村で合宿を行う高校や大学の陸上部、市民ランナーは次第に増加し、この2年8カ月で延べ3千人を超えた。11月には村主催のマラニック(自分のペースで走るマラソン)大会の初開催にこぎつけ、200人の参加を目指している。

 今は3年間の集大成として、9月にギリシャで開催される世界一過酷なレース「スパルタスロン」に向けて練習中。協力隊の任期は11月に切れるが、「これからも売木村と日の丸を背負って走りたい」と力強く語る

ビッグ5とは

極地マラソンの大会の一つ。ビッグ5はゾウ、バファロー、サイ、ライオン、ヒョウの危険度の高い5種の

動物のことを示す。出場者の安全を守るためのヘリコプターやドローン、銃を持ったレンジャーが警戒する中で行われる。今年6月の大会には23カ国から280人が出場し、完走できたのは150人だった。


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